その刹那、どうしても伝えたい言葉がある。一回性の強い言葉を綴りたい。
もう1か月以上も前のこと。 1年と11カ月勤めた学校を去る日がやってきた。 1年目、1の3を初担任し、 2年目もまた1年生で1の2を担任した。 1の2もあと1か月で終わりというところで、 休んでいた先生の復帰が決定した。 2月もあと1週間というところで、急に決定した。 あと1週間、子どもたちに何を伝えるか。 離任式でどんな話をしようか。 すごく悩み、考えた。 この学校では、中学時代の恩師と一緒に働くという貴重な経験もできた。 その先生が学年主任で、1年間一緒に学年を組ませてもらった。 最後の学年朝会で、その先生が生徒たちに話をしてくれた。 自分がどんな中学生だったのか・・・ そして、教師としての自分を評価してくれた。 「とても熱い先生で、いつも子どもと一緒にいる時間を一番大切にする。 生徒のことを考えてくれる先生だった」と。 ずっと、「教え子」としてしか見られていないと思っていた。 そこに不意に「一教師」としての自分を見てくださっていたと分かった瞬間、涙が止まらなかった。 そして、最終日。放課後に離任式が行われた。 自分ひとりのためだけの離任式。 まず、旧1の3の子が代表でメッセージを読み上げてくれた。 もう一人の子が花を渡してくれた。 メッセージを読んでいる途中で、何度も涙をこらえながら、 言葉に詰まりながら、一生懸命読んでくれた。 1の3の子たちの思いを集めたようなすごくいいメッセージだった。 「行事になると、先生はいつも練習を見てくれたし、どんなときも私たちを応援してくれました。 また、先生は勉強を教えてくれるだけでなく、いつも楽しい話をしてくれたり、相談にのってくれたりして、 私たち1人1人に向き合ってくれるとても信頼できる先生でした。 2年間私たちの成長をいちばん近くで見守っていてくれたのもきっと先生だと思います。 先生だから相談できたこともたくさんありました。本当に感謝しています。」 心に響いた。 あとはそれに答えるだけ。自分のメッセージ。 「ずっとずっと来なければいいのにと思っていた日がやってきました。 休んでいた先生が復帰されるので、今日で交代することになりました。 亀田西中学校で過ごした1年11カ月の中で、たくさんの貴重な経験をさせていただきました。 初めて担任をさせていただいて、初めて部活動の主顧問をさせていただきました。 初めてのことばかりで、つらいなとか、しんどいなと思ったこともありました。 でも、それをふき飛ばすくらいに行事や部活や、普段の学校生活で君たちと接する時間はとても楽しく、充実していました。 君たちからは、教師という仕事がこんなにも楽しく、やりがいのある仕事だということを教えてもらいました。 ありがとうございました。 今年、念願かなって教員採用試験に合格することができました。 これはこの亀田西中学校に来て、君たちと出会ったからだと思っています。 君たちにいろいろなことを教えてもらって、育てられて、 ここにいらっしゃる先生方に育ててもらって、今年合格できたのだと思います。 春からは新採用として教師として新しい一歩を踏み出すことになります。 きっと今よりもつらいことやしんどいなと思うこともたくさんあると思います。 そんなとき、自分の支えになるのは、 そんなとき思い浮かべるのは、 初めて担任をした去年の1年3組のことであり、今年の1年2組のことであり、 一緒に頑張ってきたバレー部のことであり、この亀田西中学校のことなんだと思います。 亀田西中学校は教師としての私の原点です。 本当に貴重な経験をたくさんさせてもらいました。 君たちと西中で出会えて本当に良かったと思っています。 いままでありがとうございました。またどこかで会いましょう」 すべて伝えきった。 次に応援団がエールを送ってくれた。 エールの最中に2年生の新応援団長の声が裏返った。 失敗したのかと思い少し笑ってしまったが、よく見ると彼は泣いていた。 泣きながら必死にエールを送ってくれた。 エールが終わり、バレー部の三年生が出てきて、 「先生が退場します。 先生の大好きな『栄光の架橋』を流すのでみんなで花道をつくってください。」 彼女たちもまた泣いていた。 退場。 花道の右側にいる1の2の生徒のもとへ。 ほとんどの子が、男子も女子も泣いていた。 「ありがとう」と握手を1人1人していく。 途中から2年生に。2年生は担任をした子も、していない子も泣いてくれてた。 最後はバレー部の花道をくぐって終了。 こんなにも感動的な式をしてもらえたこと、本当に幸せだと思う。 次でもきっとこの経験が生きるはず。 この後、旧1の3、1の2がそれぞれお別れ会をしてくれて、 すごく感動し、感動しっぱなしの1日だった。 大好きな西中を離れ、次の子たちに感情移入するのはすごく難しいだろう。 次の子たちにも変わらぬ愛情をそそぐことが西中の子たちの期待でもあるだろう。頑張るぞ。 伝えることは決まっていた。何度も何度も通勤の車の中で考えた内容。 PR 2010/04/18(Sun) 21:45:48
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